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 物陰に隠れた社用車の前、防護服を脱ぐ。完全に開放された所で、後方から声が聞こえた。 「やぁウィル。エリックくん。久しぶり。二人ともお疲れさま」  反応して目をやる。見慣れた車が、窓を開けたまま接近してきた。恐らく捜査の帰りだろう。エリックは、現れた人物に軽く会釈していた。  彼、ロナルドは現役の刑事である。そして私の元同僚だ。 「ロン、何か用か?」 「見かけたから声をかけただけさ。ウィルは元気かなってね。そろそろ良い人でも見つけないのかなとも」  事件への遠巻きな接触に、思わず眉を潜めてしまう。対して、ロナルドは居た堪れなさを困笑に変えた。 「どうか私のことは気にしないでくれ。では失礼」  早々と振り切り、車内に逃亡する。少し後、エリックが乗車したタイミングで、車の発進音を捉えた。 「諦めてくれませんね、彼」 「ああ」  彼はジェシカの事件をリアルタイムで知っており、私が転職した理由も恐らく悟っている。  そして、事件の追及を止めてほしいと願っている――軽い口調の中に、本気の願いがあるのは十分理解していた。
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