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ミドは、恋人との記憶が埋まる地域の名である。現住居からは遠く、用が無ければ赴く機会もない。
そもそもかなりの田舎ゆえ、用事先になること自体考えにくかった。あるとすれば、橋への下見くらいだろうか――自殺の名所として有名な橋の。
「なぁリック、最近ミドに行ったか?」
「なんでです?」
現場への移動中、何の気ないふりで尋ねてみる。やはり何かあるのか、エリックは答えを覆うように問いを重ねた。
「……いや、見かけたって話を聞いてな……その、心配になったんだ」
ここで濁しても意味は無いと、素直に返答する。正直、彼の家の事情は知らない。エリックもニコルも快活な人間ゆえ、特に問題視していなかった。だが。
「行きましたよ」
意外にあっさり肯定され、安堵する。
「何をしに?」
「……言えないことではないのですが、今はあまり言いたくないですね」
ただ、最深部までは掘り出せなかった。しかし、ワードの中に未来が見えたため深堀は止した。
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