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しかし答えは、意外な形で掘り返されることとなる。
「ねぇねぇ、秘密のこと教えてあげよっか」
焦茶色のパンケーキを頬につめ、切り出してきたのはニコルだった。今日もエリックは多忙で、ニコルだけが家に来ている。
「秘密のこと?」
「パパに言わないって約束してくれるなら教えてあげるわ」
「言わないよ」
正直、この時までは“幼子特有の微笑ましい何か”程度の想像でいた。パパの靴下は臭過ぎるとか、お化けと友だちとか。
耳打ちしたそうな仕草に誘われ、顔ごとそっとニコルへ寄せる。
「パパね、好きな人が出来たんだって……!」
「えっ……」
囁きに、一瞬本気で驚愕した。ミドへの訪問理由から、回答を濁らせた心理までが一気に導かれる。
恐らくエリックは、私に配慮し口を噤んだのだろう。
ジェシカが脳に浮かび上がった。焼き付けられた無残な姿が、いつも以上に鮮やかに蘇る。
早く犯人を見つけ出さなくては。そうして殺さなければ。次なる事件が起きる前に。
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