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「これ今日の収穫です」  秘密が漏れだしたとは、思ってもいない顔がある。袋に集められた(せい)の残骸に、復讐の遂行を急かされる気分になった。 「いつも済まないな、協力してもらって」 「何、ばれなきゃ良いんですよ」  証拠品の押収は、秘密裏に行っている。とは言え、禁止事項との規約はない。単純に、止めてくる人間に一人心当たりがあるからだ。 「犯人、早く分かると良いですね」 「ああ」  車の中から、私物の鞄を引っ張り出す。折れないよう、中に潜めていた箱に袋を詰めた。 「ウィル、犯人を殺したらどうするんですか?」  問われ、自然と視線がエリックへと流れる。だが、エリックの視線は曖昧で、まるで脳内に何かを見ているようだった。単に着替え中ゆえ、視点が定まらないだけかもしれないが。  同じく服を脱ぎながら、質問にピントを合わせてみる。だが、靄が掛かり捉えられなかった。先を思うといつもこうだ。 「まぁ、その時になったら考えるよ」  特に深い意味はなかったのか、エリックは雑談を開始する。玉子料理のレパートリーが……二コルが……と耳で聞きながら、心はまだ問いの上を走っていた。    追究など無駄だと、たった二日後に知ることとなったが。    赤い点滅が、見知らぬ人物写真を囲う。画面上部に表示された、100%の文字を目蓋に焼き付けてしまう。  ジェシカを殺した人間が、やっとお出ましになったのだ。何度も重ねたイメージの中、すっぽりと顔が嵌め込まれる。  だが、個人情報をハッキングした先、現れたのは酷い悪夢だった。 「嘘だろ……?」    犯人は三年前、既に死んでいた。
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