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自分のクラスである1年2組に入るといつも通りの光景が広がっていた。
左端の左端の列の一番前に座る早紀を見ながら女子たちが話している。
「やっぱり二条さんすごいよね」
「ねー。あの男子たちをばっさり切り捨てちゃうんだから」
「辛辣さが玉に瑕だよねー。それさえなければ完璧なのに」
まったくもって同感である。
二条早紀という生徒は容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群という、まさにお嬢様を絵にかいたような存在だった。
入学して間もないころはそんな彼女のまわりには常に人だかりができていた。彼女がいるくせに告白する生徒もいたらしい。そのせいで自身の恋人に振られて涙を流す男子が続出したんだとか。
…「いやなんで入学して間もないのに彼女がいるんだよ」というツッコミはしないでおこう。非リアが可哀想だ。特に俺。あと俺。ついでに俺。
だが、あの性格で長続きするはずもなく、1か月ほどで彼女の周りには人がいなくなった.いまじゃあ彼女と仲がいい生徒は1人しかいない。
「早紀っちー!おっはー!」
そこにちょうどその1人が入ってきた。
ドアを勢いよく開けて入ってきた彼女の名前は岡本香奈子。
彼女の唯一の友達だった。
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