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男女問わず、教室を飛び交うそんな声がいやでも鋼太郎の耳に入った。
今回バンドを組むことになるまでは、鋼太郎も恭弥と話す機会はなかった。それゆえ、恭弥のことをあまり知らなかった。
普段から単独行動をしていた恭弥はもともと誤解されやすい。
鋼太郎も積極的に人と関わるタイプではなく、見た目からも人に避けられていたいたので、誤解されることが多々あった。だからこそ、似た者同士という点からも恭弥に興味をもった。
顔色悪いまま学校へ来ては、しょっちゅう姿を消す。
たまに授業に出たと思えば、悲し気に窓から遠くを見つめている。
何を見ているかと視線の先を追っても、蒼い空が広がっているだけ。
ただただ、不思議な人だと思った。
そんな中、アルバイト先で恭弥に会った。
いつもの悲し気な顔と違って、今にも死にそうな顔をしていたから心配になった。
その後一緒にバンドをやることになり、練習をしていくうちに、表情が明るくなっている。きっと音楽が好きな人なのだとわかった。
人は関わらなければ、何もわからない。
恭弥に関わってみれば些細な事でも顔に出るほど感情豊かで、それを音楽に活かせるほどの隠れた才能を持っていることを知った。
共に練習しはじめてからは、授業中だけでなく練習時間も恭弥を後ろから見ていた。
周りをよく見て動き、最善の方向へ向かわせるために、そしてバンドに荒波を立てないように言葉を飲み込んでいる姿を。
曲のことで相談したいと言えば、恭弥は親身になって聞いてくれる。そうして教室でも話すことが多くなっていった。
しばらくすれば、恭弥が言いたそうにした飲み込んだ言葉が薄々わかってくるようになる。
だから恭弥を代弁するかのように、鋼太郎が発言すると、ぱあっと恭弥の顔が明るくなる。
恭弥のことを「顔に出やすい」というのは間違っていないと確信した。
そのようなことがあったために、恭弥が何かを隠していることは薄々わかっていた。
でもそれを無理に聞き出したり、周りに反論すれば、また恭弥が死にそうなほどの苦しい顔をするだろう。
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