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放課後。長々と校長が話し、各部活動の功績を伝える全校集会を行っている体育館に恭弥の姿は――なかった。
恭弥がいるのは保健室。
快適な温度を保たれた部屋。使い古されたベージュのカーテンに仕切られたベッドの中。
ふかふかにされた真っ白の毛布にくるまり、眉間にしわを寄せながら体を丸くしていた。
ここで、眠れたのならどれだけよかったか。
ずっと続く痛みが、眠りから遠ざけてしまうのだ。
痛みで頭は覚醒していても、全校集会で話を聞いていられるほどの気力はない。
だから音楽の授業を終えて、そのまま保健室に駆け込むと、見るからに弱弱しい姿に、養護教諭はすぐにベッドを貸し出した。
「失礼するわよー……野崎くん。体調はよくなったかしら? そろそろここを閉めなくちゃいけないんだけど……どう? 帰れる?」
そっとカーテンを開け、養護教諭が顔をのぞかせる。
物音立てず、未だにベッドに埋もれている恭弥を見て、心配そうな顔を浮かべていた。
恭弥はその声で目を開け、枕元に置いておいたスマートフォンをとり、時間を確認すると、時刻は十七時半を過ぎている。
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