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「っ……」
気持ちを隠すかのように、自分の腕をさすった。
そしてメッセージが書かれた紙に、『俺は大丈夫だから、気を付けてね』と返事を書く。
このまま置いておけば、翌日祖母が確認するのだ。一言二言書いておかないと、心配されてしまう。それゆえ、いつも同じ内容を書いていた。
(ああ、ご飯……)
恭弥は祖母の作った夕ご飯を温めると、電気をつけることなく、暗闇の中を慣れた様子で進み、二階にある自分の部屋に向かった。
自室の机にご飯を置き、バッグを床にどさりと落とす。
そして力なくベッドに倒れこんだ。
(頭痛い。せっかくばあちゃんが作ったんだから、食べなきゃ……食べないで痛み止め飲んだら腹痛くなるし……)
食欲はない。ただただ頭が痛い。
胃に何もない状態で薬を飲めば、腹痛が起こることを知っている。薬を飲むためにも、これ以上体調悪化させないためにも、たとえ食べる気力がなくても、食べた方がいい。
わかっていても、行動できず、湯気が立つご飯を見つめるだけ。
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