7人が本棚に入れています
本棚に追加
お知らせと書かれていた紙に目を通す。
『7月7日土曜日。10時~13時、羽宮高校体育館にて開催。
吹奏楽部、書道部、演劇部、合唱部に加え、科学部による実験ショーも開催。さらに有志によるステージを予定』
そう書かれていた。校内の文化部は大方出るようである。
そして、今回篠崎が恭弥を招集させた理由も下に書かれている。それは、恭弥が最も避けてきたことをやれという内容だった。
「交流会で何をやろうってことなの? ……まあ! これは難しい、わね」
養護教諭がゆっくりと恭弥の手元を覗きこむ。
要約すると、『交流会でバンドをやりましょう』、そう書かれているのだ。それに向けたスケジュールまで細かく記されている。また、招集された人の名前もずらずらと並んでいる。
そして明日の放課後、どういうわけか物理室に来るように書かれていた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
頭を抱えてこぼれた重く、深いため息は恭弥の気持ちとともに谷底に落ちていく。
☆
恭弥は篠崎に渡された用紙を片手に、放課後、物理室までやってきた。
もちろんここへ来たのは、自分の意思を伝えるため。別に放課後ではなく、休み時間でもよかったのだが、担任であるにも関わらず、どういうわけか篠崎と話すことができなかった。
朝と帰りのホームルームを終えた直後ですら、すぐに逃げられてしまい、今に至る。
どうして物理室なのか、という疑問。それを持ちながら、物理室の扉を開けた。
「おお、来た来た。ささ、これ持って座って座って」
クラス全員が収まる広さの物理室。そこにはすでに四人の生徒と、二人の教師。
生徒の中には、知った顔――瑞樹がいた。それにあの、ドラムの譜面を見ていたクラスメイトもいる。
全員の視線が一気に向けられる。その目から逃げるように、篠崎から新たに渡された紙を持ってうつむいた。
最初のコメントを投稿しよう!