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そう決めたのは、小学校へ入学する前のこと。独学で学び、機械音声である『AiS』を使って曲を作っては、動画サイト『iTube』にアップロード。
他者からの評価を受けて成長した恭弥は、決意から八年目。試行錯誤のすえに、満足のいく曲を作り上げた。
それを仕事へ向かう父に渡した。
たった一曲。
全ての想いを、技術を込めた曲を。
感想がほしかったけど、恥ずかしかったから、後で聴いてほしいとUSBに楽曲データを入れて渡した。パソコンがない場所では聴けないように。
受けとった父は、楽しみにしていると行って仕事へ向かった。
それが最後の姿。
その日の夜、父は死んだ。
仕事の打ち合わせをし、練習を終えて帰るときに。
車両同士による事故だった。
まだ幼い恭弥に、事故の理由は詳しく伝えられなかったが、頭を強く打ったことが原因で亡くなったということだけは教えて貰った。
不思議と泣けなかった。
代わりに、一つの考えが頭をよぎる。
――音楽が、親父を殺した。
みんなが父の曲を求めていなければ。
父が音楽に携わらなければ。
音楽の仕事がもう少し減っていれば。
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