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Track1 最悪が連なる日
起きる。食べる。学校へ行く。帰ったら食べて寝る。毎日毎日、飽きるほどにそれを繰り返す、代わり映えのない世界。十六になって、生きるということはつまらないものだと、野崎恭弥は思った。
それでも学生であり、自ら輪の外にでる度胸もない恭弥は、制服を着て誰もいない家に鍵をかけて学校へ向かう。
まだ新学年を迎えたばかり。冷たい空気で顔を冷やしながら、使い古した自転車を漕いだ。
元荒川に沿うように進むと、住宅街の中に羽宮高校の姿が見えてくる。ちょうど多くの生徒が登校する時刻であるため、学校へ向かい、電車通学の生徒たちがぞろぞろと歩いてきている。
その生徒たちとはやって来る道が違い、恭弥は一人、正門のすぐ前にある横断歩道まで来たところで自転車を止める。渡ろうと思えば渡れたが、信号が点滅していたので止まった。
車両用の信号が青になれば、車がスピードを出して走り去って行く。びゅんびゅん通り過ぎる車。それから目を逸らすように足元を見る。
その時、耳を裂くようなクラクションが鳴り響き、心臓が大きな音を立てる。
「っ……!」
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