ばいばい

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ーーー 披露宴も二次会も終わり一人帰路につく。現在午後11時42分。終電まではまだ時間はあるけど、でも、少しでも早く家に帰りたかった。今すぐ全て投げ出して泣き出したかった。その一心で駅に早足で向かう。手には招待客に配られたちょっとしたプレゼントとまこからもらったブーケが入った紙袋。たったこれだけなのに、重くて重くて仕方がなかった。 駅に着いた。人はまばらで、いつもよりも静かだ。駅のホームへ向かう。ふと横を見るとゴミ箱があった。足が止まる。重い紙袋を見る。目には鮮やかな淡いピンクが飛び込んできた。胸のあたりがぎゅっとなる。無意識にそのブーケに手を伸ばし、そしてそれをゴミ箱に入れた。ボリュームのあるブーケはゴミ箱から顔を覗かせていた。 そのままホームへ足を動かす。「ばいばい。」心の中でつぶやいた。彼女へのこの思いも、彼女の願いも、彼女を奪ったあの男への怒りも。 ばいばい、まこ。 ばいばい、私の長い片想い。 ばいばい、いつか思い描いた幸せな理想論。 駆け足でホームへの階段を駆け上がる。電車が来るまであと5分。
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