闇に溢れる

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わたしはお金を持っていなかったから、屋台のお代は全部セトリが払ってくれた。 申し訳なく思って謝ると、セトリは、屋台を一緒に回るやつがいると楽しいし、十分な対価はもらってるから気にするなと言って笑った。セトリが言うには、彼らが存在できるのは彼らを認知するヒトがいるからなのだそうだ。 小さな友人と話して遊んでいる時間が楽しくて、目にするものすべてが新鮮で、夢中になった。どれだけ駆け回っても、全く疲れを感じなかった。 しばらくすると、ずっと響いていた祭囃子の調子が変わった。 それまでよりも軽やかで動き出したくなるような調子。
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