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「許さない」
僕はつぶやいていた。えっ?と聞き返されて、僕も驚いたけれど、今の言葉は確かに僕の発したものだった。僕の中では、「許さない」という言葉が、黒くこびり付いていたそれが、剥がれた、というよりは、動き出し、暴れ出していたのだ。
「許さない」
と、僕はまたつぶやく。まだ笑っている相手の顔が、とても嫌なものに見える。何故あんなことをしておいてそんなふうに笑えるのだろう。あんなこと?そう、あんなことだ。覚えていないけれど、とてもひどいことだ。それなのに。時間が解決してくれたとでも思っているのだろうか。それとも、覚えていないのだろうか。それならなおさら。
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