三章

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「小春…!」 小春の名を呼ぶも小春の目は黒く濁ったままだ。 それを見ると冷静ではいられない。絶対に小春を助けなければならないのに。 「さぁ、とりあえず先に君を殺してしまおうか」 愁次は炎の塊を両手から放つ。何とか避けたものの威力がいつもとは全く違うことから左腕をやられる。 防御ばかりではいつか宵がやられてしまうだろう。しかし攻撃は小春がいるためできない。 すると愁次は小春を抱えたまま飛んだ。木を伝って移動していく。 宵はその木を妖力を使って動かす。愁次は一瞬バランスを崩したように見えた。 その隙を見逃さなかった。一瞬で愁次の目の前に移動すると、閃光が走る。愁次の顔が歪む。 宵は雷を落としたのだ。小春には当たらぬよう片手で小春にバリアをかける。 その隙に小春を奪い返した。 「小春っ…!」 一気に50メートルほど愁次から離れると小春の名を呼ぶ。 小春は「離してっ…」と、錯乱状態に陥っていた。記憶のすり替えは解けていないようだ。
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