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「ああ!違いますよ、それは冗談!」
「冗談?」
「そうです、体を拭いたのは私ではございません。別のあやかしが着替えをしたと聞いていますよ」
結が慌てた様子でそう言った。
いったい何故そんな嘘をついたのか、どうして宵が怒っているのかちっともわからない。
「本当だな?」
「本当ですよ、他のあやかしに訊けばわかりますって」
「ならいいが…それよりも何故お前が俺より先に小春を見に来ているんだ」
「だって、見てみたいじゃないですか。宵様がこんなにも気に掛ける女性がどんな人なのか」宵はふいっと結から視線を逸らした。
首を傾げる小春に宵は言った。
「結は女じゃない。男だ」
「ええっ…」
「さっきも言ったでしょう?私、あやかしだから化けることが出来るのよ。言っておくけどこれみんなできるわけじゃないからね」
「そう…ですか」
誇らしそうにそう言った結が可愛く見える。
確かに中性的な顔立ちだとは思ったが、どうみても女だ。元の姿を知りたいと思ってしまう。
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