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寝室の襖を開け、進むと「寝るぞ」と宵が言う。
先ほどの葉瑠の発言のせいで変に意識をしてしまう。もちろん葉瑠がこと細かく教えてもらわなくてもそういう知識はある。
「失礼します」
距離があるわけでもない二つの布団はどうしても意識してしまうものだ。宵がどう思っているのかはわからないが。
宵が布団に入るのを見てから同じようにして布団に入った。
「眠れるか」
正面を向いたまま宵が訊く。はい、と答えると「それなら良かった」という。
「あ、あのっ…私は結婚しましたら…その、し、子孫繫栄のや、役割が」
「あぁ、そうだな」
一体何の話をこんな時にしているのだと、心の中でツッコミを入れる。それに先ほど葉瑠との会話を聞かれていて余計なことは教えなくていいといっていた。
視線を感じ、正面から宵へ顔を向けると彼もこちらを見ていた。全身がひりつくような熱い視線に呑まれそうになる。
「それはもちろんだ。そのために妻を探していた。あなたが鬼司家に嫁いできてくれるというのは本当に嬉しいことだと思っている。ちなみに妖力が足りない時は接触が一番手っ取り早くそれを補うことが出来る」
「はい!それはわかります。手とかに触れるといいのですよね」
無邪気にそういう小春に宵はふっと頬を緩ませる。
「いや、それでもいいが出来れば…―」
そう言いかけて宵は口を噤む。
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