二章

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「雪乃さんはみんなのお母さんですからね。甘えてください。彼女は」 「そうなのですね、でもわかります。雪乃さんと話すと落ち着くというか…包容力を感じます」 「そうでしょうそうでしょう?何かあれば雪乃さんに相談するといいですよ。あやかしですが女であることには変わりないですし。ちなみに彼女は猫のあやかしです。なのであやかしの姿に戻ると耳が可愛いんです~」 「そうなのですね!見てみたいものです」 基本この屋敷内にいるあやかしは妖力が強い。意識しなくとも人間の姿になっているそうだ。しかし、今まで軟禁状態でほぼ外に出る機会がなかったとはいえ、あやかしらしいあやかしを見たことはなかった。 「耳とか尻尾とか…うーん、見た記憶がないなぁ」 「まぁだいたいは皆人間の恰好で出歩きますからね。中には尻尾だしたままのあやかしもいますけど。人間とあやかしが共存している世界ですから」 「そうですね。鬼司家がその均衡を保っているのよね。素晴らしいと思います」 「僕も誇らしいです!まぁとはいえ…常に命の危険と隣り合わせの仕事でもありますよ。一応政府から頼まれているので相当の額を貰ってはいますが、正直割に合わないと思うのですよね」 「そんなに危険な仕事なのですか」 「ええ。そりゃ、相手が同じあやかしですからね。例えば…ですけど」 そう言って足を止めた葉瑠が初めて不穏な空気を醸し出す。視線を流し声色を変えた。 「人の記憶を自由に操作できる力を持つものもいます。鬼司家をよく思っていないあやかしたちは多くいますし、特に…宵様と同じ鬼のあやかしが厄介なのです」 その言葉は重くそしていかに宵が危険と隣り合わせで生活しているのかを知る。 もっと具体的に知りたかったが、葉瑠はこの雰囲気を変えたかったのか別の話題に移る。 また後日その話を聞けばいいと思っていた。
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