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ここでは普通です
「……へ?」
「だって!水をぶっかけたかと思ったら、剣になって!あのバケモノの後ろからズシャッて!!」
彼はその辺から拾ってきたであろう石を片手に握りしめ熱く伝える。
「俺も助けようと思ったけど、これ投げてあの子たちに近づかせないようにするのが精一杯で……っていうかアレなに!?手品!?どういうこと!?」
「ちょちょ、ちょっと待って」
興奮して近づいてきた彼に両手を伸ばして制止する。
「別に……この町じゃ大したことじゃないし……一応手品じゃなくて……」
空中に投げ捨てたボトルを拾うと、右手にあった武器を水へと変形させボトルへ片付けて見せる。
「水を操る能力ってだけだよ。……そんなに驚く?」
「驚くよ!?ここの人たちみんなそんなことできるの!?」
「みんなではないけど……他には火を操れる人とか空間を操れる人とか……もしかして貴方、ここに住んでる人じゃない?」
「うん、今日から引っ越してきたんだ。俺は月宮伊織。君は?」
差し出された右手を思わず反射的に握る。
「私は、天霧雅。……こんな田舎に引っ越す人なんてなかなかいないのに。」
「いや〜訳あって!……あ、そろそろ業者が……ごめん、またね!」
「あ、あぁまた……また?」
彼は手を振ると颯爽と立ち去っていった。嵐……とまでは言わないが、スコールのような人だった。
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