13人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
直行の屋敷
インターフォンが鳴り響いたかと思うとカギが開いた。いつの間にか合い鍵を持っていたようだ。
まるで自分の家のように城ダンは勝手に上がり込んだ。一冊の漫画雑誌を手に持っていた。
「ほらァ、チョッコォ、見てみろよ。高樹イズミ先生の新作マンガだぜェ」
城ダンはボクの目の前に雑誌を置いた。
「ああ、ネットじゃァ好評らしいね」
ボクは受け取ってパラパラと本をめくった。
「うン、学園ミステリーねえェ……。今度のは面白かったぜ。読んでみろよ」
しきりに城ダンが勧めるのでアンジェラも覗き込んだ。
「ああァまァ、ヒカルさんの渾身の一作だからね」
ボクもヒットしそうなので嬉しい。
「けどさ。このプリンセス・シャーロットは完全にアンジェラのキャラのパクりだよねェ」
城ダンは何か歯にモノの挟まったような言い方だ。
「何よ。印税でも貰えって言うの?」
アンジェラが眉をひそめた。
「フフゥン、そりゃァ少しはもらった方が良いだろォ。何しろこのヒロインの口グセが『この世にうごめくすべての謎はプリンセス・シャーロットに解かれたがっているの』だぜェ。もろにパクってるだろう」
「フフゥン、構わないわ。これで『チューし隊』がブレイクすればウィンウィンでしょう」
「ンうゥ……、そうかなァ」まだ納得がいかないようだ。
「フフゥン、でもこの作品で、ヒカルさんとイズミさんも上手くいけば良いけどね」
アンジェラも希望的観測だ。
「ああァ、そうだな」
ボクも笑顔でパラパラとマンガをめくった。マンガのラストでは、ふたりはめでたく事件を解決し、キスをして上手くいったみたいだ。
果たして、作者のヒカルとイズミのふたりは。
最初のコメントを投稿しよう!