直行の屋敷

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直行の屋敷

 インターフォンが鳴り響いたかと思うとカギが開いた。いつの間にか合い鍵を持っていたようだ。  まるで自分の家のように城ダンは勝手に上がり込んだ。一冊の漫画雑誌を手に持っていた。 「ほらァ、チョッコォ、見てみろよ。高樹イズミ先生の新作マンガだぜェ」  城ダンはボクの目の前に雑誌を置いた。 「ああ、ネットじゃァ好評らしいね」  ボクは受け取ってパラパラと本をめくった。 「うン、学園ミステリーねえェ……。今度のは面白かったぜ。読んでみろよ」  しきりに城ダンが勧めるのでアンジェラも覗き込んだ。 「ああァまァ、ヒカルさんの渾身の一作だからね」  ボクもヒットしそうなので嬉しい。 「けどさ。このプリンセス・シャーロットは完全にアンジェラのキャラのパクりだよねェ」  城ダンは何か歯にモノの挟まったような言い方だ。 「何よ。印税でも貰えって言うの?」  アンジェラが眉をひそめた。 「フフゥン、そりゃァ少しはもらった方が良いだろォ。何しろこのヒロインの口グセが『この世にうごめくすべての謎はプリンセス・シャーロットに解かれたがっているの』だぜェ。もろにパクってるだろう」 「フフゥン、構わないわ。これで『チューし隊』がブレイクすればウィンウィンでしょう」 「ンうゥ……、そうかなァ」まだ納得がいかないようだ。 「フフゥン、でもこの作品で、ヒカルさんとイズミさんも上手くいけば良いけどね」   アンジェラも希望的観測だ。 「ああァ、そうだな」  ボクも笑顔でパラパラとマンガをめくった。マンガのラストでは、ふたりはめでたく事件を解決し、キスをして上手くいったみたいだ。  果たして、作者のヒカルとイズミのふたりは。
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