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ヒカル
すでに街並みは秋の装いだ。アンジェラとボクは学校からの帰宅途中、不意に真っ赤なポルシェが僕らの横に停車した。
「ン?」
覗いて見ると運転しているのは漫画原作者の高樹ヒカルだ。
「よォ、少年少女のお二人さん。乗っていかないか?」
プレイボーイのように決まっていた。親指で後部座席を差して微笑んだ。
「え、ああァ、ヒカルさん?」
「ちょっとアンジェラに話しがあってね。どうぞ」
「フフゥン、よろしいのかしら。イズミさんにナイショでナンパなんかして」
「おいおい、ナンパじゃァないよ。ナンパなら直行も一緒に誘うわけないだろう」
「はァそうですね」
ボクに続いてアンジェラも後部座席に腰を下ろした。
「スゴい人気ですね。あのプリンセス・シャーロット!」
ボクは新連載のミステリー漫画を褒めた。さっそく学校でも大好評だ。
「まァ、そうだな。ちょうど良かったよ。アンジェラに印税の事で話さなきゃならなくてね」
「フフゥン、構いませんよ。印税なんか」
「いやァまァ読んでもらえば、わかるけどあのプリンセス・シャーロットのキャラはアンジェラをモチーフにしたモノだからね」
「そうかしら、私はシャーロットみたいにドSじゃァないですよ」
「そりゃァわかってるさ。でも決めゼリフがあるだろう」
「『この世にうごめくすべての謎は……』って言う決め台詞ですか?」
「ああァ、このキャラはアンジェラに出会わなきゃ絶対にできなかったんだ。いくら金を積んでも惜しくないよ」
「フフゥン、じゃァ今度、『チューし隊』の握手会ライブに来てくださいよ」
「ああァ、ぜひとも行くよ。イズミや武智みなちゃんと一緒に取材を兼ねてねえェ……。もちろんCDやグッズも好きなだけ買わせてもらうよ」
「フフゥン、ありがとう」
「ただしちゃんと契約は交わそう。これは趣味のお遊びじゃないんだ」
「フフゥン、わかったわ」
「ッで、謎はすべて解けたのかい。デカ天使さん?」
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