多摩霊園

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多摩霊園

「ッで、謎はすべて解けたのかい。デカ天使さん?」 「ええ、もちろん。この世にうごめくすべての謎はデカ天使アンジェラに解かれたがっているんですからね」  いつものようにアンジェラは微笑んだ。 「わかったよ。じゃァここに行けば良いんだね」  スマホにはGPS機能が(そな)わっていた。 「ええッ任せたわ。ヒカルさん」  真っ赤なポルシェは一路、神奈川県美浦半島方面へ向かった。  都心から約一時間半あまりだ。  ヒカルの車は美浦霊園の駐車場へ停車した。アンジェラとボクは漫画原作者の高樹ヒカルと共に長い階段を昇っていった。遠くには東京湾が見える。ほのかに潮の香りが漂っていた。  秋だというのにまだ日差しは眩しい。  向かった先にはお墓参りをしているひとりの女性がいた。派手な装いではないがヤケに目立っていた。一見、芸能人のようだ。  漆黒の大きな女優帽をかぶりサングラスを外した女性が花を手向けていた。かなりの巨乳だ。 「……」静かに手を合わせていた。  当真家の墓石の前だ。 「やっぱり、ここでしたか?」  不意に背後からヒカルが声をかけた。 「えッ?」  振り返った女性は水田マリリンだ。  あのオッパイ番長だった。急に声をかけられ驚いているようだ。  かなり薄い化粧をしてセクシーグラビアアイドルとは思えないほどシックであどけない。これが彼女の本来の姿なのだろうか。 「水田マリリンさん……。本名は桜田愛理さんですね」  アンジェラが会釈して訊いた。 「……」マリリンは無言で眩しそうに目を細めサングラスをかけ直した。    
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