当真

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当真

「そして、美月ちゃんの。そうですね?」 「……!」一瞬、マリリンの顔色が曇った。 「ま、まさか……?」  美月は刑事の当真慎也と巨乳番長、水田マリリンとの娘なのか。 「当時、当真慎也さんは高校生だった。そしてマリリンさん。あなたは中学生でしたね。あなたたちは夏休みを利用して出産した。だが当然ですが、学生の二人には赤ちゃんを育てる事ができなかった」  なおもアンジェラが続けた。マリリンはじっと黙ったままだ。 「そうあなたには身寄りがないし、当真さんのご両親も他界していた。そこで美月ちゃんは当真さんのお姉さん当真マリアさんの養女として育てられることになったんだ」  続いてヒカルが説明した。マリリンは黙って、うつむいたまま聞いていた。 「そうですね。当真さん。そろそろ出てきたらどうですか。マリリンさんだけを矢面に立たせて男らしくないですよ」  アンジェラは辺りを見回し、かなり大きな声で叫んだ。 「えッ?」  まさか、当真慎也もここへ来ているのか。慌ててボクも辺りを見回した。どこに居るんだろう。  やがてガサガサと繁みから音が響いた。ゆっくりと男が姿を現わした。元刑事の当真慎也だ。 「……」彼は黙ってアンジェラを見つめた。 「フフゥン、お久しぶりです。これでようやく役者が揃いましたねェ」  アンジェラは嬉しそうにニコニコと微笑んだ。 「ううゥ……」当真はアンジェラを睨んだ。 「マリリンは天空温泉ならヌードも辞さないと言って彼らを白神山地へ誘い出したんでしょう。ところが思いがけず天候が大荒れになった。そこでオーナーの多胡さんはお詫びの印に高級ワインを進呈した」 「……」 「そのワインに(ひそ)かに睡眠薬を混入させたのは、でしょう。!」 「ううゥ……」彼女は視線を逸らしたまま呻いた。 「鬼飼兄が自殺に用いたとされるトカレフを用意したのは当真さん。あなただ!」  ヒカルも拳銃の入手経路を指摘した。 「うゥッ!」そうか。なるほど。やはりそうだったのか。  やっとトカレフの入手経路がわかった。当真がデリバリー店員に変装してトカレフをゆう子の自宅へ送り届けたのだろう。 「刑事のあなたなら拳銃の密売ルートもわかっている。そうでしょう?」  アンジェラが睨みつけて訊いた。 「最後に蛸島をバスルームへ誘い出し感電死させたのはマリリン。あなたですねえェ」  さらにヒカルも彼女を問い詰めた。 「くうゥ……」 「あなたたち二人が組んでいたことで事件の謎は解けましたわ。!」  またアンジェラはクルクルと舞ってマリリンを指差した。
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