13人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
真犯人はあなたに決定!
「真犯人はあなたたちに決定!」
またアンジェラはクルクルと舞ってマリリンを指差した。
「ぐうゥッ」思わずマリリンは呻いた。
「……」重苦しい沈黙がその場を支配した。
涼やかなそよ風が頬を撫でていった。
ゆっくりとアンジェラが説明を始めた。
「多胡オーナーがガンで余命僅かと知って、計画は急ピッチで練られたのでしょう。多胡さんのペンションで実行するため幾度となく練習が重ねられ、あなたたちにも力添え出来ないか、働きかけてきたのですねェ?」
「ううゥ……」
「いったん決行すれば後戻りは出来ない。絶対に失敗は許されない。一夜限りの命がけのライブです」
ヒカルが解説を続けた。
「……」
「あの夜、ワインへ睡眠薬を混入したのはマリリンさんですね。だが、鬼飼兄のグラスにだけ睡眠薬を入れられなかった」
アンジェラは大きな瞳でマリリンを見つめた。
「……」
「そのあとマリリンさんも眠った振りをして部屋へ戻った。そして睡眠薬でフラフラになった蛸島を唆し、巧みにバスルームへ誘い込んで感電死させたんですね。もちろんオーナーはその事を知っていて全ての罪をかぶって拳銃自殺したんです」
「ううゥ……」またマリリンは小さく呻いた。
「当真さんは編集者の平瀬さんを操って無料招待券と往復の旅行券をオレのスタジオへ送らせた。さらに平瀬さんはオレたちにも働きかけて慰安旅行先に天空温泉を選ばせた。平瀬さんに丸投げしていたオレたちも彼の誘いに乗った。そして彼はゆう子さん、さらに彼、ここにいる直行にも招待券を贈り、これで復讐するメンバーも証言する第三者も揃ったと言うワケだ」
ヒカルがボクを指差し理路整然と説明した。
「そしてあの日、いち夜限りのスペシャル舞台が決行されたんです!」
「ううゥ……」
ふたりは力なくうなだれた。観念したようだ。
「どうするつもりだ。ヒカルくん」
また当真はヒカルを睨んだ。
「うッううゥン……、そうですね」
ヒカルも逡巡していた。事件の謎は解けたが、その後は考えてなかったようだ。
「私は、ある方から言われました」
代わってアンジェラが応えた。
「え、なにを?」
「必ずしも真実が正義とは限らないと……」
「うッ?」
最初のコメントを投稿しよう!