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ある右足の話
ある日、右足が
「そろそろ左足になってもいいですか?」
と私に尋ねる。
私はそれではと、左足にかくかくしかじかで右足になってもらえるか、と聞くと左足は
「嫌だ」
と言う。
しかし右足は右足で
「もう、左足になることに決めているから」
と折れない。
それにより、私は歩こうとすると両方の足が一度に出る事態となった。
なるほど、私はいつも左足から歩き出していたのだなぁと感心したりしまして、しかし普通に歩きたいものですから、何とか右足の説得を試みました。
つまりは、2回に1回は右足から歩き出すことを心がけたいと。
すると、右足が右足でいることを納得してくれたのです。
という事は、そういうことであったのです。
お陰様で現在は上手に歩くことが出来ていますが、私の頭の中は常に
「左右左右左 右左右左右左右左右 左右左右左 右左右左右……」
と順番を気にして、左右の、あ、もしくは右左の漢字で埋め尽くされております。
めでたし。
教訓 : 平等とは、努力を要するものである。
了
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