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花火大会
「今日、花火大会だね」
「ようやく再開されるのか〜」
「いいなぁ〜行きたかったなぁ」
「行かなくても、会社から見えるだろう?」と、言い放つ部長の言葉は、ただの意地悪にしか聞こえない。
ーーどうせ一緒に観る彼氏も居ないけど……それでも、屋台でビール片手に女友達と観たかったなぁ〜
花村 美香 25歳
飲料メーカー営業部の事務員
会社は、大きな川沿いにあり、毎年 夏には夏祭りと花火大会が開催されていた。ここ数年は、流行り病の為、中止になっていたが、ようやく開催される。
飲料メーカー勤務だから、特に夏は、繁忙期。
私は、事務員だから、あまり関係ないが一応、営業部の人が帰って来るまで待つ。
なぜなら、今日は25日だから給料日。給料明細を渡す日。朝から既に外まわりで不在だった人には、まだ渡せていない。間に合わなければ、明日でも良いのだけれど……
やはり、この日に渡したい!という気持ちと、いつもの癖のようなもので、仕事をしながら待っている。
「そんなの部長に押し付けて帰っちゃえば?」と、決して私には言えないことをサラッと言ってのけるのは、同期の橋上 渉27歳主任だ。
「ちょっと! 聞こえたら大変! あなたは、良いわね。何でも言えて!」
「ハハッ 何とも思ってないからな」
そう!打たれ強いのか?バカなのか?上司に怒られても全然懲りない性格のようで羨ましい。
「私には、無理よ。そういう所、妙に真面目だから」
「だよな〜お前は優等生だもんな」
なんか、ちょっとムカついた!
ーー私だって……
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