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いつものように、ニッコリ笑いながら、スマホに顔を向けた。顔を並べて撮る写真は、同期の仲だから、いつものことで気にも留めていなかった。
「じゃあ、次、私のスマホでも」と、自分のスマホで
同じように撮ろうとした時、最初は、カメラを向いていた片瀬の顔が、「ハイ、チーズ!」で、横顔になり私の頬にくっついていた。
カシャ! ビックリしながらも惰性で、シャッターを押してしまった。
「え?」
片瀬が私の頬にキスしている写真を撮ってしまった。
そーっと、隣りに居る片瀬の顔を見た。
「美香! 好きだ! 俺と付き合ってくれ!」
「え、えーー!」
「ハハ、そんなに驚かなくても」
「え、だって……」
今まで、そんなそぶりを1ミリも見せないで、ずっと同期の1人だと思って接して来たからだ。
「俺は、ずっと思ってたんだぞ! なのに、お前は同期の1人としての扱いで……だから、今日こそは言おうって決めてた。俺じゃダメか? お前の結婚相手!」
「け、結婚?」
「うん! そろそろ真面目に探すんだろ?」
「そ、そうだけど……」
「なら、俺じゃダメ?」
心臓が飛び出しそうなくらい驚いていた。
「驚き過ぎて……だって、片瀬はエリートで仕事バリバリ頑張ってて、会社ではモテ男だし……」
「え? 俺モテ男なのか?」
「そうだよ! 気づいてないの?」
「あ〜まあ、何人かに言い寄られたことは、あるけど……」
「それをモテ男って言うのよ! 鈍感ね」
「お前こそ、鈍感過ぎ! ずっと俺の誘いを断ってただろ?」
「え? いつ? そんなつもりは……」
「それが鈍感だって言ってんだよ。今日だって橋上も来るって言ってたけど、ごめん! 2人にして欲しい! って帰ってもらったんだ」
「え? そうだったの?」
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