花火大会

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ゆっくり、理玖の方を向いた。 すると、また間近で見て、ニコッとしてる。 あ〜神様ありがとう〜! こんな素敵な人を彼氏にしてくれて〜 しかも、旦那様になるなんて…… 「はあ〜やっぱり、ダメ〜! ジッと見れない!」 すると、ぎゅーっと抱きしめられた。 「こうすれば、ジッと見なくていいだろ」 あ〜〜キュンです! キュンキュンです! それに、凄く落ち着く。 理玖の良い匂いがした。 男の人の匂いも久しぶりだ。 心地良い〜懐かしいような……凄く安心する。 そっか、去年、父が亡くなった時だ。 あの時も通夜、告別式に来てくれて、その後、出勤したけど、全然元気が出なくて…… そしたら、あの日も最後まで残ってて、屋上の鍵を開けてくれて、 「泣きたいだけ泣け!」って、抱きしめてくれたんだった。 ホッとして、落ち着いた。そして、凄く嬉しかった。 好きになりそうだった。いや、もう多分好きだったんだよな。 どうして、諦めたんだっけ? あ、そうだった!  去年、入って来た新人の真美ちゃんが、『片瀬さん、片瀬さん!』って、推しが凄かったんだ。 だから、片瀬はモテるなって、とても私なんて敵わないって思ったんだった。でも、真美ちゃんは、すぐに仕事を辞めてしまって…… 「ね〜」 「ん?」 ようやく顔を見た。 「去年、真美ちゃんに凄く好かれてたよね?」 「あ〜そんなこともあったな」 「真美ちゃんに告られた?」 「あ〜うん」 「やっぱり! そうなんだ。断ったの?」 「うん。断ったらすぐに会社辞めちゃった」 「え〜? 失恋して辞めたのかなあ?」 「違うと思いたいけど、俺のせいかも……」 「そっか〜モテるのも大変なんだね」
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