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浩二「この関係崩すのが怖くて言えなかったけど、もう幼馴染は嫌なんだっ...!俺の事、一人の男として見てくれないか?」
愛子「...遅いよっ!!もう、とっくに見てる」
浩二が愛子を抱きしめる
「カーーーット!!!OK!これでいこう!」
張り詰めていた教室の空気が一気に緩む
練習でも本番でも、役を終えた後のこの瞬間が俺は一番好きだ
「お疲れ、斎藤」
「拓登くん、お疲れ様」
”愛子”改め、相手役の齋藤玲奈がふんわり笑って返事をくれる
「拓登ーっ!いい感じじゃんっ!さすが現役!」
「うおっ!!」
いきなり乱雑に肩を組まれてよろけそうになる。
無礼なこいつは藤堂啓一
家が近所の腐れ縁
「いてーよ(笑)」
「いやー、やっぱり本物の演劇部は違うねっ!」
「はいはい」
「今の台詞、台本に書き加えるから後でメモにして持ってきて」
「めんどくさっ!短い台詞なんだから録画から文字起こせよ?」
「だーめ♡アレンジしたのは拓登くんでしょ♡」
「気持ち悪いっ!!アレンジも何も、台詞俺に丸投げしたの啓一だろ?!」
「いやー、何か台本の雰囲気に違和感があったんだよなー」
「雰囲気とか違和感とか...どうしてこんな奴が監督出来るんだ...」
「んー?人徳?(笑)」
「うるさいっ!!(笑)」
「それにさ」
急に声を潜めて、啓一が耳打ちしてくる
「里実に渡すラブレターの練習にもなるだろ♡」
「なっ?!」
「おーい、かんとくー」
「おーうっ?じゃあ、メモよろしく♪たくとちゃん♡」
ニヤニヤしながら啓一が去って行く。
あいつ、言いたいこと言いやがって!
人徳って何だ?!
無駄にハートマークつけやがって!!
そもそも、今の時代にラブレター書くやつなんて絶滅危惧種だろ...?!
はぁ...
どうしてこうも”兄”という人種は身勝手なのだろう...
俺は有栖川拓登
私立青葉学園中等部1年
演劇部所属
今は文化祭でやるクラス劇の練習中
ひとまず今想うのは、里実が同じクラスじゃなくて良かった
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