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どうやって1日過ごしたんだろう…
まっすぐ帰る気にならなくて、家に着くと兄ちゃんの靴が玄関に並んでいた
蹴っ飛ばすと、靴が音を立てて散らばる
「俺、何やってんだろ…」
ため息をついて靴を元に戻す
キッチンに入り冷蔵庫を開けると、正月に見たケーキの箱が入っていた
『仲良く食べてね 亜美』
と、ご丁寧にメモまで付いている
箱を開けると、モンブランと俺の好きなショートケーキ
後はよく分かんないおしゃれなケーキが家族分入っていた
兄ちゃんは甘いものが苦手で、ここのモンブランだけしか食べられない
特に栗が好きで、いつも一番最後に食べている
俺がケーキを食ってると「甘いもんばっかり食うなよ」って嫌な顔するくせに、亜美の差し入れは喜んで食うんだな…
無性に怒りが増幅してきた…
俺はモンブランの栗に手を伸ばし、そのまま栗だけ口に放り込んだ
甘さ控えめで、ほんのり渋っぽさが残っている…
「何だよ、この栗…。苦いんじゃん…」
その日、始めて涙が溢れて止まらなくなった
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