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翌日の学校
廊下に並ぶロッカーの前、登校してきたばかりの啓一に声をかける
「啓一っ。これ、昨日言ってたやつ」
「昨日?何だっけ?」
「は?!台詞のアレンジ、書き起こして持ってこいって言ってたろ?!」
「あー!あれマジで持ってきたの?!」
「ん?」
「あー・・・(笑)ごめん(笑)」
状況がよめない...
フリーズする俺に啓一は爽やかな笑顔で言い放った...!
「昨日、録画から書き起こしたから、それいらんっ!」
「はぁっ?!お前、面倒くさいってっ*@+※?!」
話の途中で首根っこ後ろから腕で抱き?しめられて、思いっきり舌を噛みそうになる
「まぁまぁ、たくとちゃん♡怒らないで♡」
「てめっ!」
サッと俺を離したかと思うと、合掌しながら逃げ出す啓一
それで謝ってるつもりか?!
「おい!待て!啓一っ!!」
「そういう真面目なたくとちゃんが好きよー♡」
「うるせー!啓一っ!!」
追いかけようと走り出した瞬間、後ろから引っ張られてシャツの首がしまる
「う‶っ...!!」
「うるさいのはあんたよ?」
「ゲホゲホッ!」
「ちょっと?!大丈夫?!」
しゃがみこんだ俺を覗き込むのは里実だ
「ごめんね、そんなつもりじゃなかったんだけど」
本気で慌てている
こういうところがたまらなく可愛い...
「あ‶ー、本気で死ぬかと思った」
「ごめんって」
「お前な!走り出そうとしてる人間のシャツ掴むなら、もっと下のほうにしろよ?!本気で死んだらどうすんだよ?!」
「たくちゃんなら大丈夫でしょ(笑)」
どういう意味だ?!
「たくちゃんって呼ぶな!」
「いいじゃない。可愛いし(笑)」
「あのな!もう中学なんだから恥ずかしいだろ!その姉貴ぶるクセ、いい加減やめろよ」
「ぶってるんじゃないの!私の方が一ヵ月早いんだからお姉さんなの!当然でしょ?」
「ちびのくせに」
「はぁ?!何てこというのよ!!自分ばっかり急に伸び始めたからって!!昔は私の方が大きかったんだからっ!!!」
「はいはい、ごめんって!」
赤くなったり青くなったり、笑ったかと思えば急に怒り出す
くるくる変わる表情
たった一ヶ月しか違わないのに年上ぶって俺を守ろうとしたりして
そろそろ俺に守らせてほしい
幼馴染から恋愛って難しいって良く聞くし、初恋は実らないとも言われる
けど、俺は里実が好きだ
今はまだ時期じゃない
ゆっくりで良くて、いずれは俺が里実を守っていきたい
「...ってば?!」
「ん?」
「ん?じゃない!また聞いてなかったでしょ?!たくちゃんって時々どっか行っちゃうよね」
「悪い悪い(笑)聞いてなかった(笑)」
「もう!」
バシッといい音を立てて里実が俺の腕を叩く。
「いってぇな!もっとおしとやかにならないと彼氏も出来ないからな!」
「うるさいっ!余計なお世話よ!」
とりあえず今はいないらしい!
こういう方法でしか確認できない自分が情けなくなる時もあるけど...
「悪かったって(笑)で、何の話だった?」
「あ、そうそう!今日って雅樹兄ちゃん練習かな?」
「うちの兄ちゃんは基本いつだって練習だろ?」
「そうなんだけど...ちょっと相談したいことあってさー」
「本人に直接聞けよ?」
「それもちょっと...」
「何なんだよ?!」
「怒らないでって!だって、雅樹兄ちゃん優しいから、相談あるって言ったら時間空けてくれちゃうでしょ?練習の邪魔とかしたくないし、終わった時ににさりげなく通りかかって、一緒に帰りながら聞いてもらう!って感じだったらどうかなって思って!」
「兄ちゃんが優しいっ?!お前、どんな感覚してんだよ?!」
「たくちゃんは兄弟だから分からないんだよ!」
「ふーーーん」
「何、その疑いの目は!!」
何となく面白くない...。
「そんなん、俺じゃなくて亜美に聞けばいいじゃん?同じ学校なんだから、部活の予定くらい分かるだろ?」
「お姉ちゃんには内緒の話なの!」
「なんだそれ?」
「お願いっ!!たくちゃんしか頼れる人いないのっ!」
本日二度目の合掌...
「あーっ、もう!分かったよ!!兄貴の練習の帰り、何時頃になるか聞いてみるよ!」
「ほんとっ?!たくちゃんっ!ありがとっ!!」
いーい笑顔で里実が笑う
俺はほんとに里実に弱い...
その時、始業のチャイムが鳴った
席について兄ちゃんにメッセージを送る。
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