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「亜美っ!」
「そんな慌ててどうしたの?」
「あのさ!兄ちゃんから渡された手紙なんだけどっ!」
「安心して!さっき里美に渡してきたから」
遅かった…
俺の横をすり抜けて亜美がリビングに入っていく
「ケーキ買ってきたんだー」
亜美は楽しそうにケーキを取り出し、皿に取り分けはじめた
「出来たっ!ここのモンブランなら雅樹も食べられるから」
リビングのドアが開いて兄ちゃんが姿を現す
「雅樹っ!」
亜美がすっごく良い笑顔で兄ちゃんの元へ走っていく
兄ちゃんも何か顔が穏やかで…
何か、こうしてみるとこの二人…
「付き合ってる…?」
またも声がもれてしまったらしく、亜美が俺を見て頬を染めた
「2人のおかげ」
「は?」
「たくとが雅樹と連絡つけてくれたって里美から聞いてるよ!ありがと」
数か月前の記憶が甦る
「じゃあ里美があの時…」
「拓登!もういいだろっ!さっさと部屋戻れよ!」
「たくとの分、ケーキ持ってってね」
あー、そうかい
俺はお邪魔虫ってことですかっ!
ムッとして足早にリビングを出た
何なんだよ。あの部活バカっ!
柄にもなく浮かれやがってっ!!!
このせいで俺はしばらく手紙のことが記憶から消えてしまい、里美に連絡出来ないまま、悶々とした冬休みを終えることとなった
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