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第12話
王宮での暮らしも少しづつ慣れてきた。
ネロとアルは宰相のクリオスから勧められ、週に何日か学習する機会を与えられた。村では近い年齢の子がいなかったため、いつも二人で遊んでいたが、新しく同じ年の友達もでき、忙しくしていた。ますます二人の成長をリーラは日々感じている。、
王宮にはたくさんの人が働いており、
料理や洗濯は専門の人がいる。掃除や風呂、着替えなども全てお抱えの人達がいた。リーラは何かやることはないかとランディに相談し、王宮内に薬草を育て、また薬を作り始めている。
薬草畑の近くでは、王宮のキッチンがあり沢山の人が働いている、少しづつリーラは顔見知りになって行く。
「リーラちゃん。今日もかわいい帽子ね。薬草どお?育ってる?」
「リーラ、昼ごはん食べるか?」
「火傷の薬が欲しいんだけどある?」
リーラに声がかかるようになっていた。
ここにいると村にいた頃を思い出し、ホッとする。みんなもリーラのことを新しい使用人だと思い、あれこれと面倒を見てくれている。
昼はここの人達と一緒にご飯を食べるのが日課になりつつある。なんてことない会話をしながら、大人数で食べるのは、リーラの楽しみの一つであった。
「最近、野菜が大きく育ってきてるから、ご飯も美味しいわ」
「料理長、腕あげたわね」
「リーラもおかわりあるからな」
作物がすくすくと育っているのは、リーラ達の水の流れが影響しているようだった。あの山にはたくさんの水がまだ溜まっているので、どんどん流れてくれば、作物も豊かに成長していくはずだ。
「だけど、葡萄とか果物が上手くいってないみたいだな」
「そうね。あの辺の土地の作物は痩せ細っているのよね」
「うちの兄夫婦があの辺で葡萄を作ってるのよ。上手く出来ないって悩んでたわ」
果物などの作物は水が豊富にあり、そして水捌けがいい土地ではないと、育ちが悪くなる。水が滞っていたり、不足していたりすると上手に育たないらしい。ランディの言っていたように、干からびていたり、水がうまく流れていないと作物も人も困ってしまうのを目の当たりにする。
「ここには豊富にある水も、場所によっては少なかったり、必要以上に多かったり、難しいですよね…」
リーラが呟くと、みんなもうんうんと頷きながらも、おかわりをしていた。
夜、いつものように四人でベッドに入ると昼間の話を思い出したリーラは、ランディに聞いてみることにした。
「ランディ…今日、キッチンのところで昼ごはん食べてる時に聞いたんだけど…果物の出来が悪い土地があるって本当?」
「はぁ?リーラ、キッチンって」
ランディはネロ、アルと遊んでいた手を止めて、ガバッとベッドに起き上がる。
その勢いでベッドが揺れ、双子は楽しそうな声を上げている。
「俺はてっきりコイツらと一緒かと思ってたぞ。違うのか?」
コイツらとは双子のことである。
「僕は騎士団の人達と一緒だった」
「僕はクリオスとご飯食べたよ」
ランディに纏わり付きながら、双子は言う。
「リーラは誰と一緒だ?いつもそいつと一緒なのか?しくじった!」
ランディだけなぜか慌てているようだ。
「薬草畑の近くが王宮のキッチンなので、いつもそこの皆さんと一緒なんです。料理長がみんなにお昼ご飯を作ってくれるんですよ。野菜が最近美味しいってみんな言ってた。水のおかげですね」
リーラは嬉しそうに言う。
「あ、それでその時にみんなが言ってました。最近、果物の土地は水が少ないみたいって。だから果物が上手く出来ないみたいなんです」
肝心なことを聞き忘れるところだったと、リーラは改めて思い早口になってしまった。
「そうか!みんなと一緒の食事か。それならまあ、うん、いいだろう。いいのか…大丈夫か…うーん」
何やらひとりでランディは唸っていたが、ハッとしたように顔を上げリーラに伝えた。
「その土地の報告は俺も受けている。ちょっと試したいことがあるから、協力してくれるか?」
ランディは真剣な顔で言った。
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