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1.出会い
「森永美雨・・・さんだよね?」
この声がけが依頼だとしたら、今月これで二回目。
いつもは年に両手で収まるほどしか人がやって来ないから、立て続けに来るのは珍しい。
「何?」
あえてキツめに返事してやると、ショートヘアの手足が細い女が、体をピクリと動かした。
「天気の依頼をしたくて・・・」
おずおずと、俯きがちに女が言う。
「噂を聞きつけたんだな。で、条件と料金を知った上で依頼しているか?」
「はい。三万ですよね」
「あとは祝詞をあげる前に悪用利用をしないか見極める。今日の放課後、うちの神社に来い」
「分かりました」
「アンタ、学年と名前は?」
「三年三組の、金沢陽菜です」
「アタシより一つ年上じゃないか。タメ口でいい」
「あ、うん。分かった」
陽菜という名の女がお辞儀して、小さな歩幅でアタシの前を去っていった。
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