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「テンさまは、いつもぼくのことを思ってくださる。すごく、感謝してるんです」 「ウタ・・・・・・」 「ぼくだけが特別だって自惚れてるわけじゃないけど・・・・・・、力の弱いぼくが、今まで消えることなく存在できているのは、テンさまのおかげだと思うから。この間のことだって、掟を破ろうとしたぼくを止めてくれ、守ってくれた」  テンがいなければ、きっとここにはいない。大きな恩がある。どうすれば、その恩を返せるのだろう。  懸命に、神として人の願いを聞き届けていれば、立派な神になれば返せるのだろうか。  もしそうなら、ウタが葵を想い共にいようとすることは、それに反することなのか。 「本当に、ありがとうございます」 「本当に、可愛いやつめ。神にはない謙虚さがウタのいいところだ。人と近い場所にいるウタだからこそだろう」  おいで、そう両手を広げられる。テンは距離感が近い。よく抱きしめられる。きっとそれは、テンの優しさ、愛情表現なのだろう。それに気づけたのも、葵との触れ合いがあったからだ。
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