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 ウタが力を失い眠っている間に、沢山の人が参拝に来てくれたらしい。目が覚めた時に力が漲り、沢山の願いが、ウタの心を埋めていた。  こんなことはこれまで初めてで、驚いたがそれが葵の協力もあってだと知り、さらに驚いた。  それまでも、毎日神社を訪れ、出迎えたミトにウタに会いたいのだと訴えていたのだと聞かされた時は、本当に葵のことなのかと驚いたほどだった。 「帰りも寄るから、神様頑張れよ」  そう言いながら葵がウタの髪をくしゃっと撫でた。 「う、うん。葵くんも大学頑張って!」 「ああ」  葵に撫でられた頭を押さえて上擦った声で答える。なんだろう。すごくドキドキする。
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