3/12
前へ
/161ページ
次へ
 葵を見送り境内に戻る。竹箒を持ったミトが掃き掃除をしている。拝殿にはヤトの姿もある。  二人にも、本当に心配をかけてしまった。そして、テンにも迷惑をかけてしまった。あの時、ウタを止めてくれたのはテンだったらしい。ウタはテンの声が聞こえたような気がすることは覚えているがすぐに意識がとび、何が起きたのか覚えていなかった。 「ウタさま、境内の掃除終わりました」 「ミト、ありがとう。今日は誰か来てくれるかな」 「きっと」  今日はどんな人が来てくれるだろう。何度か来てくれている人、初めて足を踏み入れてくれる人。どんな人でも、とても嬉しい。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

271人が本棚に入れています
本棚に追加