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 息をつく暇もないくらい荒く強引に唇を合わされ、顔の向きを変えながら、唇を食まれる。 「はっ、・・・・・・んぁ・・・・・・」  苦しくなった呼吸に唇を開けた瞬間、ヌルッと舌が入り込んでくる。初めての感覚に驚いたウタが身を固めると、優しい手が背中を撫でる。  少し身体の力が抜けたウタは、それでも口内で蠢く葵の舌に翻弄されるばかり。  ちゅくっと音をたて唇が離れた頃には、ウタは涙目で顔を赤くし、呼吸も荒れていた。 「エロ」 「へ・・・・・・?」 「はー、やばい。なんか、堰き止めてたものが取れたみたいに、歯止め効かない」  こてん、と葵の頭がウタの肩に乗る。何かに耐えるような声に、ウタは戸惑った。 「あ、葵くん・・・・・・あの・・・・・・」 「俺も、ウタが好きだってこと」 「え・・・・・・、えぇ!?」 「なんでそんな驚くんだよ。お前、神様なのに俺の気持ちの変化もわかんねぇの?」 「わ、わからないよ。言ったでしょ、拝殿でお祈りしてくれたことはわかるけど、いつでも人の気持ちがわかるわけじゃないって」  まさか、自分のことを葵が好きだなんて思ってもみなかった。そもそも、自分が葵のことを好きだって思うばかりで、その想いを返してもらうことなんて考えていなかった。
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