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「俺と、そういう関係になるってこと考えもしなかったってことか」 「そういう・・・・・・?」 「恋人」  恋人・・・・・・。頭の中で反芻したウタはぼっと火が出るように顔が熱くなる。  そういう関係があることはウタも知っているが、神である自分には関係のないことだと思っていた。 「か、神は、そういう事から離れたところにいるから。神は結婚もしないし、子どもも生まない・・・・・・」 「お前が、俺を好きって気持ちは、そういうんじゃないって事?」 「う、ううん! それは違う。あの、あのね。泉くんに言われて、考えたんだ。好きって気持ちにはいろんな種類があるって知って。ぼくの、葵くんへの気持ちはって考えた時に、やっぱり特別だって思って」 「泉って、あの泉? 何言われたって?」  必死に説明するウタに、葵はなぜか泉のことに引っかかったらしく眉を寄せ尋ねる。 「あの、・・・・・・葵くんをやめて自分にしないかって」 「はあ?」  正直に話すと、葵は不機嫌そうに答える。
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