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「尻尾も触っていい?」 「うん・・・・・・」 「うは、やっぱ触り心地いいな」  気持ちよさそうにモフモフと触る。先の方を触っていた手が、尻尾の付け根の方に触れると、ゾワッと落ち着かない感覚が襲う。 「んっ」 「あ、悪い」  ウタの反応に一瞬手を離した葵だったが、悪戯っぽく笑うとウタの耳元に顔を寄せる。 「ここ、イイの?」 「えっ」  そう言いながら尻尾の付け根をツーッとなぞる。うひゃ、と身体を震わせながら顔を真っ赤にさせるウタを、葵は楽しそうに声を上げて笑った。  翻弄されている気がする。それでも、葵の楽しそうな笑顔が見られた。それがすごく嬉しい。恥ずかしく思いながらも、ウタも笑った。
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