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 日が暮れ、ウタは葵と共に葵の家への道を歩く。人型をとってはいるが、着物姿のためこれはこれで目立ってしまうだろう。でも、葵はあまり気にしてはいない様子だった。 「葵くん、ご飯どうしてるの」 「じいちゃんがいた頃も、俺が作ってたし、適当に自分で作ってる」 「料理できるんだ。すごいね!」 「必要に駆られてな。でも、一人だと面倒で結構買ったもんになるけど」  時折葵の口から発せられる一人、じいちゃん、という言葉に切なく感じる。 「何か買って帰る?」 「ウタはさ、ご飯とか食べるのか?」 「ぼくは、基本食べないよ。食べなくても問題ないし。でも、食べられないわけじゃない」 「じゃあ、俺作るから一緒に食べようぜ」 「うん!」  嬉しい。葵からあれこれと誘ってくれるのも、葵と共にいろんなことを経験できるのも。 「何食いたい?」 「ぼく、あんま食べたことないからなんでも楽しみ!」 「好き嫌いとかそれじゃあわかんねぇな」 「でも、今日知れるかもしれないのはワクワクするよね!」 「そっか。そうだな」
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