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「父親がさ。今更援助を言い出してきてさ。大学卒業するまでの生活費を持ってくれるんだってさ」 「え、そうなんですか」 「今更だよな」 「でも、葵くんにとってはいいことなんじゃないですか。生活するには、お金が必要なんですよね」  生きていくにはお金がかかる。大学生の葵はバイトをしているらしいが、そのお金だけではなかなか切り盛りは大変だろう。 「まぁ、もらえるもんは貰っとこうと思って。大学は、じいちゃんが勧めてくれて入ったからちゃんと卒業したいし」 「そっか」  そんな風に割り切れるようになったのは、葵の心境の変化のおかげなんだろうか。これまでだったら、もしかしたら意地になって突き返していたかもしれない。
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