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葵自身は見た目がどんどんと離れていくことにどう思うのだろう。今は漠然としていてそんなことまで考えは至らなかったが、ウタの言葉を受け考えてみてふと思った。
「黒尾葵」
もう日課になっている、大学後の神社訪問。自然と足が向かい鳥居をくぐると不意に声をかけられた。
「・・・・・・あんた」
振り向いた先にいたのは、祖父のことがあった時に現れた女だった。
「ここいら一帯の神を統べるテンだ」
「神様の神様ってことか」
「そんなことはどうでもいい。お前には、ウタから手を引いてもらいたい」
あの時、葵を許さないと言っていた彼女だ。そう言われても仕方ないのかもしれない。葵は確かにウタの身を危険に晒した。
それなのに、今になってウタが好きだと、恋人だと言っているのは許せないのかもしれない。
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