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「ウタさ、俺んちで一緒に暮らさないか」
「え・・・・・・」
いつものように大学の後神社を訪れた葵がそう切り出した。
「ここから離れられないわけじゃないんだろ? 無理かな」
「む、無理じゃ、ない。一緒にいたい!」
葵がこうして神社を訪れてくれるんじゃなく、一緒にいられたらどれだけいいか。ずっと一緒にいたい。もしかしたらそれが叶うかもしれない。でも、先のことはわからない。だから、今少しでも一緒にいたい。そんなウタにとって一緒に暮らせるだなんて夢のようだった。
「俺は家から大学に行って、ウタは神社に通って。ちゃんと神様の仕事も蔑ろにしないようにしてさ」
「うん」
「俺と一緒にいることで、神様の仕事ができなくなったって、なってほしくないし。できそうか?」
「できる。ちゃんとする。ぼくも、そうしたい」
ウタが熱く訴えると、葵は優しく笑った。そして、ウタの頭を優しく撫でると、「じゃあ、決まりな」とくしゃっと笑った。
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