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 そうして、二人の生活が始まった。ウタは葵に習い料理をしたり、掃除をしたり家事を覚え、少しずつ人の生活に馴染んでいった。  時には葵がいろいろなところに連れて行ってくれ、初めて見る景色やものに興奮するウタを見ては楽しそうに一緒に笑う。  人になりたい、そういったウタの願いを少しでも叶えるようにいろいろなことを教えてくれているようだった。  そんな葵の優しさに、嬉しくなり、葵への想いはより一層強くなるばかり。  日々を重ね、時を重ね、たくさん増えていく思い出に、泣きたくなるほどに幸せを感じていた。  ウタの神社も、人づてに広まり、参拝者も増え続けている。そのため、ウタは神としての仕事も増え、忙しくなった。ヤトやミトに力を貸してもらいながら、慌ただしくも幸せな日々を過ごした。
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