epilogue

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 人と神、相容れない存在同士、愛し合ってしまった二人は共に暮らしていた。歳を重ねていく葵と、そのままの姿のウタ。それでも二人は、変わらない思いを互いに抱きながら数十年共に過ごした。  そして、ついにウタに看取られながら葵の人生が終わりを告げた時、気づいた時には、選択を迫られていた。  人として転生をするか、神として生まれ変わりウタと長い月日をこの先ずっと過ごしていくのか。  そう問うたのは、神を統べる者だと名乗り葵の前に現れたテンだった。  葵に迷いなどなかった。むしろ、この先もまたウタといられるのだとただただ幸せで嬉しかったのだ。  長い時を共に過ごした。自分ばかりが歳を重ね、そんな自分を変わらず愛してくれるウタに十分なほど幸せな時間をもらった。ウタを残して逝くのは心苦しかったが、愛しい者に看取られるのはなんと幸せなのかと思いながら永い眠りについたのだ。  それがまさか、この先もまたウタと共にいられるという。それも、自分自身も同じ神となって。
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