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「ごめん・・・・・・」
「そっか。じゃ、また明日ここで会おうぜ!」
謝るウタに葵は気にした様子もなくそう言って帰ってしまった。
夏が終わればまた葵は自分の家に帰ってしまう。寂しい。もっと、ずっとここにいてくれたらいいのに。
葵といるときはとても楽しくて心が弾むのに、帰ってしまった途端に寂しさが波のように押し迫ってきて、ウタは悲しくて仕方なかった。
次の日、いつもより遅くにやってきた葵は泣いていた。いつも明るく無邪気に笑う葵の涙は、初めて見る。驚いたウタは、どうしたらいいかわからなかった。
それでも、自分は神様なのだから、悲しんでいる人を助けなければ。涙を止めてあげる手助けをしなければ。
なにより、葵の力になりたかった。
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