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「今日も来てますよ、あの人間」
ヤトが境内を見ながら言う。ウタはその言葉にウズウズし、飛んで行きたい気持ちをグッと抑える。
この間のこともあるし、あまり下手に近づいてここに来てもらえなくなることの方が嫌だった。
グッと堪えて拝殿の中からこっそりと境内を歩く葵を見る。
「お力も戻ったことですし、会いたいなら出て行けばどうですか」
「うぅー。でも、邪魔になったらいけないし」
冷たくあしらわれるのが正直悲しくなるとは言えなかった。
「誰だ?」
拝殿の近くにきた葵が、怪訝そうに声をあげた。ビクッとしてウタは思わず扉にぶつかり音を立ててしまう。
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