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「にゃ、にゃーん」  思わず猫の鳴き真似をすると、葵は「猫か」と特に気にしていない様子だった。ホッとすると近づいてきた葵に息を潜める。  葵は、賽銭箱の前の階段に座る。そこは、かつて葵とウタが何時間も時間を忘れ語り合った場所だった。  そこに座り、しばらくぼんやりとしていた葵。しばらくして、帰るのか立ち上がった。  階段を降りようとした時、その階段がバキッと音をたて底が抜け、葵の体がバランスを崩した。 「いって」  顔を顰める葵の腕から血が流れている。ウタは青ざめ慌てて拝殿から飛び出した。 「大丈夫!?」 「え、あ、お前」  ウタの姿に驚いた様子の葵だったが、腕の痛みに顔を顰めそれ以上問いかけることはなかった。
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