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「あの、ぼくの姿も、ここにいる子の姿もはっきり見える?」
「は? 当たり前だろ」
怪訝そうな顔。それもそうだろう。見えるか、なんて意味不明の質問。
「ぼく、こっちが本当の姿なんだ。驚かせてごめんね。ぼく、ここの神主じゃなくて」
「ウタさまは、この神社の神様なの! あんたみたいな庶民が気安く話せる御方じゃないんだから!」
「み、ミト」
ゆっくりと驚かせないように話そうとしたウタだったが、ミトが捲し立てるようにバラしてしまった。
「は?」
「ご、ごめんなさい。でも、その、本当なんだ。ぼく、人間じゃないんだ。信じられないかもしれないけど」
「・・・・・・怪我が跡形もなくなってるんだから信じないわけにはいかないが。俺、霊感なんかないが」
「うん。さっきまでは、ぼくの力で人に化けてたから見えてたんだけど、この姿の時見えてたことはないよ。だから、どういうわけなのかぼくにもわからないんだ」
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